以前にもご紹介しましたが、アイコムのID-50を買いました。
「携帯が圏外で遭難しかけた」という恐怖体験から、私は本格的に登山用の通信手段を探し始めました。
そして辿り着いたのがアマチュア無線機、特にアイコムのID-50でした。

上位機種のID-52PLUSと散々悩んだ末に選んだこの機種を、実際に山で使い倒してみた率直な感想をお伝えします。
結論:コスパ最強の登山用無線機として大満足
先に結論を言うと、ID-50は登山用無線機として文句なしの選択でした。
おすすめ度は★★★★☆(4.5/5)です。価格を考えれば間違いなく★5つです。

なぜID-50を選んだのか:上位機種との悩ましい選択
ID-52PLUSとの価格差が決定打
最大の悩みは上位機種のID-52PLUSとの選択でした。
機能面では確かにID-52PLUSの方が上です。これは間違いない。
左がID-52Plus、右がID-50です。
- カラー液晶 vs モノクロ液晶
- Bluetooth対応 vs 非対応
- UHF帯エアバンド受信 vs VHF帯のみ
- 1000ch vs 500chメモリー
しかし、実売価格が倍近く違うんです。
購入当時の価格は、ID-52PLUSが約75,000円程度に対し、ID-50は約40,000円程度。
この価格差は正直異常です。
登山での実用性を重視した判断
個人的に最終まで諦められなかったのはBluetoothが無い事でした。
最後に自分を納得させたのは「登山ではBluetoothは使わない」という部分でした。
登山で使うことを考えると
- 軽量性重視:ID-50(260g)vs ID-52PLUS(295g) ←重さは若干ID-50 が軽い。
- 耐久性への不安軽減:安い方が落としても心理的ダメージが少ない ←これは大きい。もし使えなくなってももう1台が買える価格差。
- 必要十分な機能:D-STAR、GPS、防水IPX7は両方とも搭載
結果、ID-50で十分という結論に至りました。
実際に使ってみた感想:期待以上の性能
買って良かった点
1. 想像以上にコンパクト
手持ちのVX-6より大きいがIC-T10よりコンパクト。
登山ザックのショルダーハーネスに付けても邪魔になりません。
2. D-STARの威力を実感
従来のFM通信では届かない距離でも、D-STAR中継局経由で全国どこでも通信可能。
これは本当に心強いです。
3. GPSが優秀
みちびき・GLONASS対応で測位精度が高く、最寄りレピータ自動リストアップ機能で知らない土地でもすぐに通信可能。
4. 防水性能IPX7の安心感
雨の登山でも全く問題なし。
実際に雨が降り、カッパを着て登山した際に、ショルダーハーネスにID-50 をそのままの状態で付けて、5時間ほど歩きましたが、何も問題なく使えてます。
水深1mに30分沈めても大丈夫な規格は、アウトドアでは絶対的な安心材料です。
5. バッテリー持ちが良好
付属のバッテリーでも4.5時間の連続運用可能。
受信だけなら、日帰り登山でもギリギリ電池は持ちます。
私の場合は、BP-272という1880mAhの少し大きめのバッテリーをメインで使ってます。
下の写真はBP-272(1880mAh)を装着した状態。

写真の手前が付属のバッテリー(BP-271:1150mAh)で、奥が少し大きめ容量のバッテリー(BP-272:1880mAh)です。

1日の日帰り登山なら十分にバッテリーが持ちますので安心ですね。
更に、10,000mAhのモバイルバッテリーを別で持っていき、この無線機やスマホ、カメラの充電用として持っていってます。
ちょっと残念な点
1. Bluetooth非対応
実際に使い始めてみると、全く気になりません。
Bluetoothは使えないと思っているからかもしれませんが、いらなかったかも。
しかし、バイクで無線を聞きたいと思ったとしたら、これが唯一の大きな不満になるでしょう。
インカムが使えないので、バイクでは無線機は使えません。
2. モノクロ液晶
まったく機能的には問題ないです。
いらなかったかも。
3. UHF帯エアバンド非対応
航空無線マニアには物足りないかも。
岩国のフレンドシップデーとか、自衛隊の航空祭とか、UHFのエアバンドは受信できませんね。

他機種との比較:価格差を考えれば圧勝
項目 | ID-50 | ID-52PLUS |
---|---|---|
実売価格 | 約40,000円 | 約75,000円 |
重量 | 260g | 295g |
液晶 | モノクロ | カラー |
Bluetooth | × | ○ |
エアバンド | VHF | VHF/UHF |
防水性能 | IPX7 | IPX7 |
D-STAR | ○ | ○ |
価格差35,000円を考えると、ID-50の方が圧倒的にコスパが良いというのが正直な感想です。
実際の登山での使用感
成功体験:携帯圏外でも安心
先日の登山で、携帯電話が完全に圏外になった際、ID-50のD-STAR機能が受信できているのは安心感が高いです。
この安心感を買ったようなものです。
耐久性テスト:何度も落下させても平気
正直に言うと、2回以上は落としています。
落そうとしたわけではありませんが、ザックを背負う時に誤って落ちてしまうことがありました。
でも40,000円という価格のおかげで「まあ、仕方ない」と思えるのが精神的に楽です。
こんな人におすすめ/おすすめしない
ID-50をおすすめする人
- 登山・アウトドアでの緊急通信手段が欲しい人
- D-STARデビューしたい人
- コスパ重視の人
- 軽量性を重視する人
- 落としても心理的ダメージが少ない価格帯が良い人
ID-52PLUSを検討した方が良い人
- Bluetooth機能が絶対必要な人
- カラー液晶にこだわる人
- UHFの航空無線も楽しみたい人
- 予算に余裕がある人
まとめ:この価格差は本当に異常
ID-50を実際に使ってみて思うのは、「この価格差は異常」ということです。
確かにID-52PLUSの方が高機能ですが、登山での実用性を考えると、ID-50で十分すぎるほどの性能があります。
特にD-STAR、GPS、防水IPX7という核心的な機能は同じなのに、価格が倍近く違うのは正直理解できません。
アイコムさんの価格戦略なのでしょうね。
初めてのD-STAR機、登山用無線機として、ID-50は間違いなく「買い!」です。
浮いた35,000円で他の登山装備を充実させた方が、よっぽど有意義だと思います。
(価格は2025年6月時点の情報です。購入前に最新価格をご確認ください)
コメント